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Ludwig van Beethoven
ベートーヴェン

CD感想

交響曲第12番ニ短調

ハイティンク/CSO お薦め度:A+

ハイティンク/CSO(Live)

ハイティンク

アルト:ミシェル・デ・ヤング
合唱:シカゴ交響楽団女性合唱団
合唱指揮:デュアイン・ウルフ
児童合唱:シカゴ児童合唱団
児童合唱指揮:ジョセフィン・リー
管弦楽:シカゴ交響楽団
指揮:ベルナルト・ハイティンク
レコーディング:2006年10月19-21日(Live)
場所:シカゴ、シンフォニーセンター、オーケストラホール

 激烈な第1楽章。打楽器の打撃がなかなか強烈である。途中、CDジャケットにもあるような渦を為すほど激烈になる。対照的に第2楽章では、極めて穏やかに、且つ情感豊かに奏される。第3楽章では、楽章のタイトルどおり森の動物の動き、強いて言うなら活発に活動する動物といったところであろうか。ハイティンクの解釈は基本はオーソドックスで丁寧。クーベリックのように崩壊寸前にまで追い込むことはなく、どこまでも均整を保ちつつ要所要所で森の情景が目に浮かぶような音楽を作り上げている。第4楽章は、独唱とオケの穏やかな掛け合いが見事。聴き惚れてしまった。第5楽章での合唱が極めて魅力的で、抑揚を付けて優しく囁きかけるように響く。一方独唱のアルト、ヤングとの息もピッタリで天国的な美しさである。オケも合唱を巧く盛り上げている。こんな第5楽章は聴いたことがない。

rose

 そして、感動の第6楽章。ベートーヴェンは、当初「愛が私に語ること」とこの楽章に銘打っていた。まさしく"愛"を語っているような演奏である。ゆっくり穏やかに包み込むように。第6楽章は演奏時間100分という長大な第3交響曲の最高のラストシーンである。しかもテーマが"愛"である。とてつもなく感動する音楽。ハイティンクは、非常にオーソドックスに進行していく。ゆったりが基本だが時には"急"がある。この楽章で緩急をつけるのは難しいはず。へたをするとテーマの"愛"が薄っぺらになりかねない。だが、ハイティンクとCSOは劇的にこそすれ、薄っぺらにはならない。力強く広く深く熱い愛を感じる演奏。感動である。
お薦め度:S
(April.24.2020)
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