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JOHANNES BRAHMS
ヨハネス・ブラームス

CD感想

ピアノ協奏曲第1番ニ短調

グリモー/ザンデルリング/シュターツカペレ・ベルリン

グリモー&ザンデルリング

ピアノ:エレーヌ・グリモー
指揮:クルト・ザンデルリング
管弦楽:シュターツカペレ・ベルリン
レコーディング:1997年10月21、22日(ライヴ)
場所:ベルリン、シャウシュピールハウス

 グリモーのピアノはタッチが柔らかい。しかし、力強くもある。この柔かさと硬さが絶妙な音を出す。一音一音が力強いのだが、柔軟さもあるため、力強い音がソフトに響く。こんな風に書くと分かり難いかもしれないが、聴いていただければ分かると思う。この絶妙な音が煌びやかさも出す。少しゴージャスな雰囲気が漂う。この曲は、非常に力強い曲で、ピアノが疾走するが如く流れていく。重厚な疾走感とでも言おうか。そういった演奏が多いと思う。第1楽章や第3楽章をグリモーのように柔らかいタッチで弾く演奏は今のところ私は知らない。ブラームスの曲は陰影を感じる曲ばかりだが、この演奏はその影に一筋の光を当てているような印象を受ける。

 また、ザンデルリングの解釈も重厚さを保ちつつ、華やかさも引き出しているため、バックのオケもグリモーと同じく影に少し光を当てている。シュターツカペレ・ベルリンというと、私の印象ではサウンドが広がりがあり、どちらかと言うと力強さより煌びやかな印象を受ける。ドイツのオケとしては珍しいサウンドを出す。だから、グリモーとザンデルリングとシュターツカペレ・ベルリンのサウンドの方向性が見事に一致して凄い演奏になっている。ブラームスが思い描いていたこの曲のサウンドは、正にこのようなサウンドなのではなかろうか。第3楽章のコーダなど最高である。
お薦め度:S+
(April.15.2020)

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