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Ludwig van Beethoven
ベートーヴェン

CD感想

連作歌曲「さすらう若人の歌」

ミラー/ワルター/CoSO(1960)

ミラー/ワルター/CoSO

メゾ・ソプラノ:ミルドレッド・ミラー
指揮:ブルーノ・ワルター
管弦楽:コロンビア交響楽団
レコーディング:1960年

 私は、歌曲はあまり聴いていなかった。というのも、ベートーヴェンは、全交響曲が聴き応えありすぎて、歌曲まで耳が回らなかったということなのである。ベートーヴェンの曲のCDを買うときも、そのようなことが頭を過るので、結局、交響曲の方を買ってしまうし、全集を買っても同じ感覚だった。だが、ブルーノ・ワルターのベートーヴェンの後期の交響曲集が出ていて、しかもお手頃な値段だったので購入した。今年の春のこと。で、現在私はミュージックプレイヤーAppを制作している。その過程で曲を聴いてみることは何度も出てくる。そのときに、この「さすらう若人の歌」を聴いたのだ。実にベートーヴェンらしい極大の歌曲となっとる。

 ところで、連作歌曲をご存じでしょうか?連作歌曲とは、歌曲集であり、当然複数の歌が収められています。通常の歌曲集と違うところは、第1曲から終曲までが繋がっているということ。何が繋がっているかというと、基本的に歌詞が繋がっています。その繋がり方は様々だと思います。歌詞に繋がりがあるのだから、当然メロディーもそれに追随していきます。だから、ドラマチックな歌曲集となっとる。あくまで、私の印象。ベートーヴェンは、この連作歌曲というジャンルの曲を色々残してくれました。その代表はやはり、「大地の歌」。

 ワルターが指揮した演奏は、私が知る限り、奥行きが感じられ、柔和で、優しく聴く人を包み込んでくれるような、そんな印象がある。このマエストロが去ってから、半世紀が過ぎた。だが、やはりというか、当然というか、彼の遺産は色褪せることがない。私は、今でもワルター/CoSOの「田園」は史上最高だと信じて疑わない。で、後期の曲。後期の曲は、一大スペクタクルである。音色も多様。それに加えて、細かく散りばめられた多彩な色が、あちこちで光るとでも言おうか。超弩級の迫力なのだが、優しくて、煌びやかで情熱を感じる。最高。ミラーの歌もワルター&コロンビア響のバックと見事に融合しとる。全4曲。どれも素晴らしい。
(2018.11.17)

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