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スレイヤー(Slayer)

 言わずと知れたビッグ4の一角である。ビッグ4とは、スラッシュメタルの代表格の4つのバンドのことを指す。メタリカ、メガデス、スレイヤー、アンスラックスである。スレイヤーは「Slayer」と書く。意味は、殺すとか殺害という意味。こう書くと、あまりにも恐ろしいバンド名である。曲を聴くと恐ろしくて聴いてられなくなる。私は、スレイヤーを初めて聴いたのは、26歳ぐらいであった。しかも、私が買ったCDではない。転職して職場が同じだった、同年齢ぐらいの者がCDを貸してくれた。私は、スラッシュメタルは聴かないと言ったが、その者を自宅へ送ったときに、いいからいいからと10枚ほどスラッシュメタルのCDを貸してくれた。それを車のトランクに積んだまま走っていた。で、スラッシュメタルの印象は、恐ろしいという印象を既にそのとき持っていたので、トランクに積んだままにしとった。だが、その男が職場で「聴いた?」としょっちゅう催促するのである。それで、聴いてみようとトランクにあったスレイヤーの2枚組のライヴアルバムを車のCDチェンジャー(懐かしい)に入れて、走りながら聴き始めた。すると、音がフェードインしてくるのだが、フェードインするいなや、恐ろしい声が響いてきた。その声を聴いた途端、CDのスイッチを切りたくなった。だが、聴かないと、ヤツにまた催促されるがいやだったので、そのまま、車を運転しながら、そして、恐ろしくなりながら聴き進んだ。冒頭、ギターの音が高音と低音が入り混じりながら唸りを上げる。それが1分以上続く。その後、突然、恐ろしい声というか怒声のような声が響き渡る。と同時に曲が始まる。やっぱり無茶苦茶恐ろしい曲であった。その時、2曲目の途中でスイッチを切ってしまった気がする。だが、なんとか耐えて何度か聴いているうちに、明らかに超絶技巧のバンドであることが分かった。最初に気付いたのはドラムである。3曲目の「War Emsemble」でのドラムは、ただただ驚くばかりであった。地響きのようなドラムである。今まで聴いたことのないドラムであった。結局、このドラムが好きになり、このドラムを聴きたくてこのアルバムを聴くようになった。すると、最初から3曲目までのドラムの凄さとカッコよさにノックアウトされた。ホントに凄いドラムなのだ。だが、4曲目に入るといつもスイッチを切った。もう怖すぎるのだ。聴けなくなるぐらい怖い。でも、3曲目まではかなりの回数聴いた。自宅でヘッドホンでも聴いた。何度も聴いているうちにギターの凄さも理解できた。考えてみると、冒頭のあのギターは一体どうやって考えついたのか分からない。滅茶苦茶弾いとるようで滅茶苦茶ではないのだ。聴き続けて分かった。他にもこのバンドのアンサンブルの凄さにはただただ脱帽するしかない。それぐらい凄い。で、このCDは借りたものだから、返そうとしたら、その男は別にいいと言い出した。自分はもう十分聴いたCDだからあげると言い出したのだ。で、私は、ありがたく頂戴した。

スレイヤー

 その後、結構聴いたと思う。3曲目まで。4曲目を理解しようと何度か挑戦してみたが、その当時、結局理解できなかった。そのときの結論は、やっぱり恐ろしい曲ということになった。だが、時が経ち、50歳ぐらいでスラッシュメタルバンドが何故あのように恐ろしい曲ばかり書くのか理由を知ることになった。要は、敵がいるのである。人の敵である。その存在に気付いた人達は奴等と戦っとる。ビッグ4もそのような人達なのである。特に戦う人だと言えよう。だから、敵を糾弾する内容を歌うし、過激なことも歌う。だから、楽想が恐ろしい内容になるのである。ビッグ4のバンドメンバーは、ほとんどが超絶技巧を有しとるし、曲も複雑な曲ばかり作る。だから、これら3つの内容が絡み合うから、非常に難しい曲ばかりになる。敵をやっつける曲だから、楽想を恐ろしくし、歌詞も暴露する内容や過激なものになり、戦う曲であるがために攻撃的にもなるし、技巧派揃いであるがために複雑な曲にもなる。一般にヘヴィメタルバンドというと粗野な人達というイメージが強い。彼らの写真を見ると、強面ばかりで細やかなことをやるようには見えない。実際、ハードロックやヘヴィメタルのバンドは、前述の通り、人の敵であるバンドが多い。そういうバンドは見た目どおり粗野である。だが、ビッグ4は真逆で、非常に細やかな曲作りをしとる。スレイヤーも楽想は恐ろしい内容だが、細部に至るまでよく計算されとる曲ばかりである。また、ビックリするのは、ビッグ4は、全バンドが、実は歌詞の中に結構日本語を挿入しとる。日本人の味方なのである。ビックリされる方もいるであろうが、事実である。

スレイヤー

 さて、スレイヤーのアルバムジャケットを見ると、おどろおどろしい見た目である。普通、こういったジャケットだと人は買いにくい。一方で、敵はそういう見た目が好きなのだ。バンド名といい、ジャケットといい、明らかに悪党が好む風合いに作られとる。即ちバンドは悪党に聴かせようとしたのである。なぜ?それは、悪党がスレイヤーのアルバムを聴こうものなら、一瞬で落っこちる仕掛けがあるからである。一方、人が聴いても落っこちることはない。私は何度も聴いたが落っこちることは全くなかった。落っこちるとは、精神的にかなり苦痛を味わうということであり、一度その状態になるとまず復活は無理である。それほど、スレイヤーの曲は破壊力がある。皆さまの周りに悪魔がいたらスレイヤーの曲を聴かせてやるといいと思う。気分がスーッとすること請け合いである。スレイヤーと一緒に悪魔を地獄へ叩き落そうではないか。  


CD感想


Show No Mercy(ショウ・ノー・マーシー)
Hell Awaits(ヘル・アウェイツ)
Reign In Blood(リーン・イン・ブラッド)
South of Heaven(サウス・オブ・ヘヴン)
Seasons in the Abyss(シーズンズ・イン・ジ・アビス)

ライヴアルバム


Decade of Aggression(ディケイド・オブ・アグレッション)

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